★12の月からのSabian Image★
　4/25 09:18～【6ノ月】◎5°-☽5°

　＜豊かに結晶化された男の理想＞
　　　　　　　　 　　 　　　 　　　　　 　　　　　　　　　

境界のない世界から

この地に　生まれてきた頃の　赤ちゃんは

まだ　境界を知らない

自分の身体と　おくるみの違いが　わからない

自分とベッド　どこまで自分か　わからない

自分と部屋　自分と家　自分と親兄弟

自分と地球　自分と星空　みな同じだった
　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

その後の成長につれ　細分化された感覚で

この世界に　触れれば　触れるほど

跳ね返され　相容れられず

自分との　違いばかりが　知らされて

この地には　自分と同じものはなく

おくるみのように　同じに包まれるものは

やっぱりなくて　孤立していくばかり
　　　　　　　　 　　　 　　　 　　　　　　　　　　　　

にもかかわらず　

世界と　結びついている　という感情は

消えることなく　どこかに　残されている
　　　 　　　　　 　　　　　 　　　　 　　　　　　　　　　

境界のない世界から　離れて

一人　飛び出してしまったけど

帰りたい　戻りたい　叶わぬ想い

元の世界の扉を　叩くように

人に触れ合い　物事に触れ合っても

応えがないのも　応えのひとつと

言わんばかりに　触れ合うほどに

やっぱり　寂しさは　募るばかり
　　　 　　 　　　　　　　 　 　　 　　 　　　　　　　

こうして　考えてみると

人間の究極な目的とは

境界のない　元の世界に戻ろうとする

境界のある　この世界での努力　なのかもと
　　　 　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　　　　

いえ

みんな　一人ひとり違って　誰もが孤独だけど

あの境界のない世界を　心に残しているなら

一人ひとりの孤独を超えて

一人ひとりの境界を越えて

心から慕う　その世界　約束の地を

ここに　現わしてみたいじゃないか
　　　　　 　　　　 　　　　　　　 　　　　　　　　　

ああ　ノヴァーリスは　呟く

　“ふれあいとは　別れ　そして再会”