どれほど　揺さぶられる人生でも

雨は落ち　水面は泡立ち

どれほど　押し流される生活でも

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
水の底を　見やれば

じっと静かに　聴こえるものあり

ずっと密かに　沸いているものあり
　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
なにが不幸か　不憫か　知らねども

この条件でしか　見えぬものあり

この経験だからこそ　救われることあり

それで上等　上出来なり
　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
愚れている暇もなく　

甘えている余裕もなく

貧しくでも　外されても
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
品だけは落とすまいと

情だけは無くすまいと

矜持をもって　生きてこれたのも

人の心の奥底に　物事の深層に

信じられるものに　気づけたからこそ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

“何事のおはしますかは　知らねども

　かたじけなさに　涙こぼるる“

　　　　　　　　　　西行法師